社長のつぶやき2

イワサキNEWS

全てにおいて、どんな世界に足を踏みいれたとしても一流を目指すことが信条である。
ふと一流とは何かを考えた。それは、お客様に心から満足いただく技術とサービス、
それには美容においての知識を身につけること。
気が狂ったように技術に没頭し、毛髪知識はもちろん香粧品化学、メーキャップ、アップヘアー、新日本髪、編み込みヘアー、ヘアーデッサン、ハサミ研ぎ、バリカン研ぎ、すべてにおいての研鑽に明け暮れる毎日が続いた。

ある日、自分の不注意からせっかく研いだハサミを落としてしまった。
さあ大変、ハサミを叩いて直さなければならない、この調整がどれほど時間がかかり
難易度が高いことか、そんな失敗から学ぶことである。

プロとは、ハサミやバリカンは絶対落としてはならない。
自分の魂だと思うことから始めなければならないことを思い知った。
板場の魂は包丁であり、大工の魂はカンナやノミである。
どんな職業でも自分で研ぐのは当たり前、プロに向かうとはそんなことから始まっていく。
確かに、海外ではハサミの研ぎ屋はいない。自分達で研いだり調整するのは当たり前。
男性カットができないというだけでスタイリストではなくアシスタント・プレイヤー
という。
プロとはどんな職業においてもお金を頂ける基準である。
一流とは、その域を凌駕(リョウガ)し、プロを指導するマルチ領域のことだと知った。

当時、講師として、経営者に向けて方々へ出張講義もしたもんである。
努力の方向は間違っていなかった。
美容師になって美に対する深い洞察力が身についた。風が吹いて雲が芸をするの
を発見し、なんて素敵なスモーキーカールだなぁーと、限られた時間の中で心を動かされることを教えてくれた。
風が吹いてよかったと思うのと、風が吹いたからってどうしたんだと思うのでは全然違う。
道端に咲いてる桜の木、八分咲きなのか満開なのかだけを意識し、奇麗だなぁーと何気に通り過ごしていた桜の木の下でも、一枚の花びらの舞い落ちる放物線を追いかける楽しさを教えてくれた。

どんなに濁った小川さえも、そこに一本の杭(クイ)が刺さっていたら、よけて通る水
のムーブメント(動き)があればずっとたたずんで、見とれることも教えてくれた。
当たり前のように水の透明感だけを気に止めていた自分の観察力の狭さをまたたく間に磨いてくれたのが美容師になってからである。
すべて線の表現つまり髪の表現なのである。なんでもない風景が好きになった。
最初から美しいとか、立派などと言われている予定観覧より、うっかり見過ごしてし
まうようなものが面白い。