美容師の求人市場は、近年急速に変化しているのが特徴です。特に都市部では人材不足が深刻な課題となっており、他業種と比較しても非常に高い求人倍率が続いています。
本記事では、美容師求人の市場動向について解説します。
Index
美容師が人材不足と言われる理由
美容師を含む生活衛生サービスの有効求人倍率は、令和6年10月時点で 3.22倍※1と非常に高い水準に達しています。これは全体の有効求人倍率1.25倍※1を大きく上回っており、美容室の約80%が人手不足を感じている現状を反映しています。
人手不足の原因として、給与水準の低さや労働環境の厳しさが挙げられます。これにより、美容師として働き続けたくても、厳しい条件から職場を離れる人が多いと考えられるでしょう。また、都市部では新規店舗の開店が相次ぎ、競争が激化していることが求人倍率の高さにつながっているとも推察できます。
※1 参照:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年10月分)について【pdf】
美容師の有効求人倍率の推移
美容師の有効求人倍率は、過去数年間で以下のように変化しています。2019年4月時点では、生活衛生サービスに属する美容師の有効求人倍率が4.28倍と非常に高い水準を記録していました。
また、2021年にはコロナ禍の影響で一時的に低下しましたが、その後は回復基調にあり、2023年6月時点で再び3.21倍※2まで上昇しています。今後もこの水準で推移すれば、再び4倍になる可能性もあるでしょう。
※2 参照:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和5年6月分)について
美容師求人の集中する都市部の特徴
都市部では、美容師の求人が他地域に比べて非常に活発です。新規出店や店舗拡大が進む中、都市部特有の求人ニーズが高まっており、競争が激化しています。
ここでは、都市部での求人状況に焦点を当て、報酬や待遇、地方からの移住などに関する詳細を解説します。
都市部の美容師求人の現状
都市部では美容師の求人ニーズが急増しており、今後も高い水準を維持する見込みです。これは、東京都や大阪府などの大都市圏で新規出店や業務拡大に伴い、毎年多くの美容室が開店しているためです。都市部の美容室は地方に比べてお客様の数や単価が高く、利益の確保がしやすいことから、新規開店や規模拡大が続いています。
このような状況下で、顧客の多様なニーズに応えるために、都市部の美容師には高度な専門スキルや接客能力が求められています。サロン業界内での競争も激化し、求人ニーズがさらに高まっているため、都市部での美容師求人は引き続き高水準で推移する見込みです。
都市部の報酬と待遇の傾向
都市部では、美容師の報酬や待遇が地方に比べて高くなる傾向があります。これは、都市部の顧客がより洗練されたサービスや最新の技術を求めるため、美容師にも高い専門性が要求されるためです。その結果、報酬も高く設定される傾向にあります。また、優秀な美容師を確保するために、サロン間の求人競争が激化しているのも特徴です。
地方から都市部への美容師移住
都市部の美容室では、優秀な人材の確保が重要な課題となっています。そのため、多くの美容室が積極的な求人活動を行い、地方の美容師を対象とした転居支援などを提供するケースが増えています。
そのため、地方で働いていた美容師が都市部へ移住することも、転職や復職時の選択肢となっています。
美容師の多様化する雇用形態と柔軟な働き方
近年、美容師の働き方に変化が現れています。どのような変化があるか紹介します。
ブランクOKやシニア層の復職支援
美容師としてのキャリアにブランクがある人やシニア層の復職を支援する取り組みが進んでいます。全国には約50~70万人の休眠美容師が存在しているとされており、これらの人材が活用できる環境を作ることが、人手不足の解消につながるためです。
例えば、ブランクOKやシニアまで働ける美容室など、休眠美容師が復帰しやすく、美容師を続けやすい働き方を提供している美容室が増えています。
訪問理美容やシェアサロン
従来のサロン勤務に縛られない働き方として、訪問理美容やシェアサロンが広がっています。特に訪問理美容は、高齢者や身体的な制約がある人々に対するサービスとして需要が高まっており、今後もさらなる成長が見込まれています。一方、シェアサロンは、美容師が個人のペースで自由にスケジュールを組んで働くスタイルです。自由度が高いのが魅力ですが、集客を自分で行う場合は、知識がないとハードルが高いかもしれません。
美容師の労働環境の改善と働きやすさの向上
美容師業界では、長時間労働や休日の少なさなど労働環境の厳しさが課題とされてきましたが、近年では改善に向けた取り組みが進んでいます。ここでは、労働環境がどう改善しているのかを解説します。
労働環境の改善
美容師業界では、長時間労働や休日の少なさが問題視されています。近年では、労働時間の短縮やシフト制を導入するサロンが増え、仕事とプライベートの両立がしやすくなっています。また、ミーティングや業後の練習時間を削減するなど、スタッフの負担軽減に取り組むサロンも増えています。
給与制度も改善が進み、固定給制を導入するサロンが増加。これにより、収入の安定性が高まりつつあります。さらに、研修や資格取得支援など、スキルアップをサポートする取り組みも増えており、キャリア形成を目指す美容師にとって、働きやすい環境が整ってきていると言えるでしょう。
求人における「働きやすさ」の強調が増加
美容師の求人広告では、サロンの「働きやすさ」が大きくアピールされることが増えてきました。例えば、残業削減やフレックス勤務制度の導入、育児や介護に配慮した柔軟なシフト制度などが導入されている点を推し出して、長く働けるサロンであると伝えているのです。
特に、美容師免許を取り立てのアシスタントやブランクのある美容師に対し、これらのアピールポイントが就職・転職先を選ぶうえで重視されていると考えられています。
高い専門スキルを持つ美容師の需要と待遇
美容師の中でも、特に高度な専門スキルを持つスタイリストへの需要について解説します。
需要の増加と新たなサービスの登場
美容師の需要は年々増加しており、特に専門スキルを持つ美容師が求められる分野が増えています。これは、カラーやデザインカラー、白髪染めなど特化型サロンが増加しているためです。さらに、高齢者向けの訪問美容や福祉施設で美容サービスを提供する流れもあり、福祉美容師としての需要も高まっています。
男性向け美容サービスも需要が拡大しており、メンズ向けのヘアサロンやメンズグルーミングに特化したサービスを提供するケースも増加。こうした新たなニーズに対応するため、専門スキルを持つ美容師の重要性が増しているのです。
専門スキルを持つ美容師の待遇
美容師全体の平均年収は約380万円※3と、日本の全職種平均の458万円※4よりも低めです。ただし、美容師のキャリアや専門スキルによって、収入面での大きな差が生まれます。例えば、カラーやデザインカラーに特化したスペシャリストは、技術力の高さから高収入を得やすくなるでしょう。
さらに、店長やトップスタイリストとして昇進することで、基本給やボーナスが増え、待遇が改善されるケースもあります。専門スキルを磨きながら、昇進やキャリアアップを目指すことで、収入の安定と向上を図ることができるでしょう。
※4 参照:国税庁|令和4年分 民間給与実態統計調査
コロナ後の美容室市場回復と新規出店の増加
コロナ禍で一時的に停滞していた美容師求人市場ですが、現在は需要が回復し、これに伴い新規出店や人材募集が増加しています。美容業界が再び活況を取り戻しつつある中、求人市場にも大きな変化が見られます。
新型コロナウイルス感染収縮による需要回復
コロナ禍で一時的に縮小した美容業界ですが、現在は需要が回復しています。感染予防対策の徹底や自粛の緩和、インターネットを使った新しいサービス提供の形などが回復要因です。また、美容室の需要が回復したことにともなって、美容師自体の需要も高まっています。
新規出店と求人の増加
需要の回復に伴い、全国的に新規美容室の出店が増加しています。2022年には美容所の出店数が前年比で2.1%増加し、全国で5,666店舗が新たにオープンしました※5。これにより、スタイリストやアシスタントの募集が活発化し、求人ニーズがさらに高まっています。
また、カラー専門店や男性向け美容サービスなど、新しい形態の美容サロンも藤堂しており、求人市場にも新しい動きが見られます。
※5 参照:厚生労働省|令和4年度衛生行政報告例の概況【pdf】
まとめ
美容師求人市場は依然として高い求人倍率が続いており、特に多様な雇用形態や働きやすさを提供するサロンが注目されています。技術力や経験を活かしながら、自分に合った働き方を見つけることが重要です。
ヘアーサロンイワサキでは、シニア層やブランクのある方も安心して働ける環境を提供しています。労働環境の改善を進めながら、固定給と歩合給のバランスを整えた給与体系で、安定した収入を目指すことが可能です。さらに、柔軟なシフト制や研修サポートを充実させているため、キャリアアップを目指す方にも最適な職場です。